STORY

5分でわかるアルゴナフト

信濃川のほとりに構えた
小さな事務所。
2005年、私たちの航海はここから
始まった。

東西冷戦が終結し、長い間「対立と緊張の海」と形容された日本海は、対岸諸国との交流を育む「平和と友好の海」へと大きく変貌すると期待され、「環日本海経済圏」という新しい世代の経済交流の幕開けに期待が集まりました。

EPISODE

第一章

航海の始まり

日本、ロシア極東、中国東北部、韓国、北朝鮮といった日本海を取り囲む国々の間で、資源や技術、労働力を活かした経済活動に注目が集まる中、混乱期を脱したロシアは資源の輸出によって潤い、順調に経済力をつけ環日本海経済圏においてその存在感を強めてゆきます。そんな時代背景の中、日本海にも金の羊毛を求めて航海に出たアルゴ探検隊のような冒険話があるのではとの思いから、交易を実践する会社として2004年10月、私たちは小さな船出を迎えました。創業時は「日本海におけるアルゴ号になる」という思いを込め、ジャパンシーアルゴという社名でしたが、人を中心とした経営を体現するため、創業から3年後に現在の社名である株式会社アルゴナフトに改名をしています。

会社を立ち上げてから数年、取り扱い物量も順調に増え、貿易事業も安定してきた頃、商業視察や交流事業のコーディネートの相談を多くいただくようになり2008年に、「アルゴ旅行社」という商号で旅行事業を開始します。また同時期に、貿易事業、旅行事業の分野でより高度なオペレーションができるよう、極東ロシアの要衝、ウラジオストク市に現地事務所を開設、ハバロフスク市には連絡員を配置し、大きく事業を拡大させてゆきました。

第一章

第二章

船出の先に待ち受けて
いたものは…

新たな事業領域に参入し、業務拡大に向け邁進していたころ、世界の金融市場を混乱に貶める大きな危機が訪れます。リーマンショックです。株価下落と信用不安は急激な景気の減速を生み、経済成長率は大きくマイナスに転落しました。拡大路線をとってきた我々も、急騰、急落を繰り返す為替レートを目の当たりにし、慎重な舵取りをしばらく強いられることになります。

そこから数年、経済活動も落ち着きを見せ徐々に安定を取り戻してきた頃、今度は日本史上最大の災害と言われる東日本大震災が発生します。巨大な地震と津波は東北地方沿岸部に壊滅的な被害をもたらし、福島第一原子力発電所では深刻な事故が発生しました。世界中から支援が寄せられましたが、実業の現場では商品の確保から港、倉庫の手配に至るまで大きな混乱に見舞われました。「日本の商品は放射線が怖い」という風評がたち、輸出事業を一時的に停止する必要に迫られ、これまで追い風を受けて進んでいた船が、突然嵐に巻き込まれ、座礁してしまったかのような出来事でした。

時間の経過とともに出荷も再開し、徐々に事業も軌道に乗り始めた頃、設立から10年の節目を迎えた2014年に、本社を新潟市の中心部へ移転し、新たなスタッフも迎え入れ、さらなる成長に向けた準備を整えました。しかし同年、ロシアがクリミアを併合したことに対し、日本をはじめ多くの国々が経済制裁を発動したため、再びロシア経済は大きく混乱し、通貨ルーブルも急落することになります。長らく資源価格の高騰に後押しされ、右肩上がりの成長を遂げていたロシア経済は失速し、私たちは視界の悪い濃霧の中を、感覚だけを頼りに進むような状況に置かれてしまいます。

この頃よりロシア一辺倒であった我々の活動も、未開拓のビジネスチャンスを求め、これまで見えていなかった地政学的な重要性や将来性にあらためて目を向け、日本海対岸諸国、そして中央アジア諸国にその幅を広げ始めました。これまでの培った経験を活かしつつも、各国固有の文化や商習慣を理解することから新たな挑戦が始まり私たちの視野は一気に広がりました。

第二章

第三章

新たな時代の到来。
その先に見えたもの…

新しい市場、新しい商材の取り組みに芽が出始めた頃、ロシアと日本の間で新たな協力関係がスタートしました。この「8項目の協力プラン」と呼ばれたこの取り組みは、かつてないほど緊密な経済協力関係をもたらし、多くの分野で経済活動を活性化させ、私たち自身の業務にも、強い追い風となりました。
また両国間によるビザなし渡航が実現したことで、人的交流は飛躍的に進み、ロシア極東地方は「日本から一番近いヨーロッパ」というキャッチコピーとともに、広く認知されるようになりました。

2019年末、新型コロナウイルス感染症が世界的に大流行し、その後パンデミックへと発展します。人々の生活様式は一変し、経済活動は停滞。多くの国で都市封鎖や移動制限が実施されました。世界中に感染が広がり、海外とのつながりが私たちの生命線であったにも関わらず、そこから収束するまでの3年間は、大変な困難を伴う時代となりました。

そして2022年、アルゴナフトの航海は新たな局面を迎えます。ロシアによるウクライナ侵攻。この武力衝突は、創業以来、密接な関係を築いていたロシアの市場と多くのパートナー達、そして取引のあったウクライナの企業の面々、そこで起きている、想像を絶する惨状を、私たちはただ、胸を締め付けられる思いで見つめるしかありませんでした。

この侵攻によって、市場経済や自由貿易の理念に基づいて推進されてきたグローバリゼーションが見直され、新たに経済安全保障という概念のもとで、世界中に新しい経済ブロックが形成されつつあります。このような大きな変革を前に、私たちはこれまで以上に強固で柔軟な体制を築くとともに、合理性や経済性だけでなく、倫理的責任を考慮した事業活動を行う企業として、新たな一歩を踏み出します。

私たちのミッションは、海を越えて想いをつなぐ事業を具現化すること。

過去にとらわれることなく、新しい視座に立って、海の向こうに広がる世界とつながる。私たちのサービスや商品を必要としている人々と共に事業を創造する喜びを胸に、アルゴナフトはこれからも積極果敢に航海に臨んでまいります。

第三章